動き出す時計
繰り返しの日々
………いい天気だなぁ。


ぽかぽかとした太陽の光が当たる教室の窓側の席。


水谷 柚音はぼーっと空を見上げていた。


空には所々に雲があるものの、いい天気だと十分思える水色が広がっている。


ぽかぽかとした光は柚音に睡魔として襲いかかる。


……あーやばい。寝ちゃうかも………


と、ゆっくりと目蓋を閉じ…


「起きろ水谷っ!!!」


れなかった。


長いホームルームでこれまた長い話をくどくどとしていた担任に運悪く見つかり、怒られてしまった。


「残念、柚音。」


くすくすと後ろの席から話かけてきたのは柚音の友人、長嶋 紗弥加だ。


「だって、眠くもなるじゃない。いつまで喋ってるのよ、あのハゲ。」


柚音は後ろを振り向きヒソヒソと紗弥加に不満を漏らした。


相変わらず担任は話し続けている。


バスでのマナーが悪いと近所から苦情が届いたという話に始まり、今では大人を敬え、親に感謝しろだのという話に発展していた。


ちらりと、教室を見渡せば、聞いている人は数少ない。


首をカクンと落として下を“見ている”ように眠ってる人もいる。


なんとも器用だ。


「〜〜〜という訳で、君たちは日頃から親に感謝しなくてはならん。君たちをここまで育ててくれたんだからな?


これからの進路のことも、しっかりと親と話しておくように。君たちももう高2なんだから、進路を見つめてやってかなきゃダメだ。ちゃんと親と話して、その進路希望用紙を提出すること。以上。」


「あ、柚音。先生の話終わったみたいだよ。」







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