動き出す時計
“当たり前”が崩れる日
いつもの通り、一人で目を覚ます。
いつもの通り、学校へ行き授業を受ける。
担任が進路希望調査書を提出するようにとか言っていた気がする。
紗弥加を始めとする、親しい友達と楽しく会話をする。
いつも通り、いつも通りだ。
この日だって、紗弥加と一緒に放課後はブラブラと買い物をした。
街のどこかのテレビで流れていたニュースでは明日の電気は晴れだ、と言っていた。
空を見上げればもううっすらと暗くなっている。
「ありゃ〜もううす暗いんだね。もう帰ろうか。」
先に店から出ていた柚音の後を追って出てきた紗弥加が言った。
ちょうど柚音もそう言おうと思っていた所だと、紗弥加にそう言うと紗弥加は気が合うわね、と笑っていた。
紗弥加と別れた後、柚音はてくてくと帰路につく。
その間にも着実に夜が近づいてきていた。
家々には電気が灯り出したし、どこからか魚の焼く香ばしい匂いがしてきた。
しばらく歩くと、やっと見慣れた柚音の家が見えてきた。
…………あ……れ。
何かが変だ。
気がついた柚音は思わず足を止めた。
自分の思い違いだったのではないかと思いかぶりを振ったあと、もう一度家を見た。
やはり、変だ。
どうして??
どうして………
電気が点いているの?