拾遺詩集 キマイラに捧ぐ
Ⅱ.初期詩
詩を書こうと思いついたのは
15歳のときだった
高校受験のさなかに
好きな子に出さないラブレターを
とりとめもなく書いた
『…君には見せることのない手紙を
書いています
孤独がそちらに着いても
迷惑でしょうから…』
なぜ詩を書こうと思ったのか
分からない
理由はなかった
理由のない内側からの唐突な要求
だが詩がなければ
闇には居られなかった
それだけはいま解る
闇に耐えられない
それは死ぬしかなくなる
詩が切り裂いたもの
天から降りてくる刃は
闇を切り裂いたんじゃない
この僕を切り裂いたんだ
闇がただ闇であるために
それは僕の迷妄を
打ち砕いたのだ