拾遺詩集 キマイラに捧ぐ

緑の草野






 緑の草野


雨に濡れた草野に
崩れ落ち
雨粒と溶けあうまで
泣くんだ

この世は一面の草はら
雨雲が暗くたれ込め
赤い縁取りがある

降るのか
降らないのか

もう降ってしまった
ああ満足したかい?
まだ俺が必要かい?
もう手放しても
いいだろう?

再び静まりかえる草野
問いの間が次第に長くなる







< 7 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop