少女が見つけたモノ
何が楽しい?

何がやりたい?


そんなのわからない。


だって
あたしには何もないから。
わかるわけがない。


「全部が中途半端。」


奈央の言った言葉が頭にリピートした。


そんなこと分かってる。


彩香は行き場のないモヤモヤと、イライラで更にイライラを募らした。

「あ゛ーっ!もうっ!」

声を上げ、ダンッ!と床を思いっきり踏みつぶす。

「………。」

踏みつぶした床を見つめたまま動きを止めた。
ジーンと足が痺れていた。

それでも気分は晴れない。

「あーもう!なんなんだよ!」

もう一度勢いよく床を踏みつぶす。
静かな廊下に、ダンッ!と音が響いた。


「オイオイ。床に当たるなよ。」
「…!!」

いきなり耳に入った聞き慣れない声を聞いて、彩香はハッと我に返り顔を上げる。


周りを見回しても人はいないかった。


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