迷える仔羊
…はい?
めーる…??
「その様子じゃ何も娘に言っていないんですね、先生。」
め、メールとはいったい何のことでございましょう??
まったく状況が掴めなくて、あたしは目をパチクリする。
「はい。」
ずいっと目の前に濃紺の携帯を突きつけられた。
「ど…どうも…」
あたしは大人しく受け取って、画面に並ぶ文字を読んだ。
えーと?…“相談室にいる私の娘が君のために働いてくれる。存分に使っていいぞ~。by高藤”
「…」
あのーすいません、ここに書いてあるのニホンゴデスカ?
もう一回読みますよー
ムスメがー、キミノタメにー、ゾンブンにー…
ここのところの相談室にいる私の娘って誰のことかしらん?
はーい、ワタシのことですよねー!
状況ワカリマシター!!
脳内の葉月ロボが翻訳を終えて、スイッチオフした。
それと同時に、怒りで体がプルプルと震えだす。
娘が君のために働く?
存分に使っていい??
…あたしを勝手に使うなぁっ!!このクソ親父~~~っっっ!!!!