迷える仔羊
それかもしくは実はただの変態…
「あれ?急に黙っちゃって、そんなによかった?」
「はあぁ!?」
「もう一回してあげようか?」
「結構です!!」
…ただの変態決定だ!!
そうこうするうちに、あっという間にもう学校の近くまで来ていた。
相変わらず、道行く女子たちの冷たい視線がグサグサ刺さる。
「…ねぇ、いい加減この手放してくれない?」
「なんで?」
なんで?ってあのねぇ…
「あたしはもちろん騒がないし、必要ないでしょ?」
「でもこうしてる方が彼女っぽいと思うよ?」
「あんたと一緒に登校してる時点で十分だから」
「そうかなぁ」
そう言って、東雲は何か考え込んだ。
…
で、結局放してくれないんかい。
全くどういうつもりなんだか、絡めた指を解く気はないらしい。
そっちがそうならこっちは…
「しゅっ」
「あ」
物思いにふける隙を狙って、あたしは素早く手を抜いた。
へへん。
あたしは東雲を見て得意げに笑い、スタスタと先を歩く。
あぁ、なんか開放感~
あたしは掴まれていた手をひらひらと振る。
「あーあ、逃げられたー」
東雲のそんな声が、背後で聞こえた時だった。