迷える仔羊


「…でもこれ、本当に何の跡なんだろう?」

あたしはハイソックスを履きなおす。

「まだわからないけど、当分気をつけた方がいいぞ?」

「うん。とりあえず植え込みとか茂みは避けるわ」

「え?」

あたしの言葉に、彼方が不思議な顔をする。

あ、東雲に言われたんだっけか。

「ゴメン、なんでもない。こっちの話」

そうか?と彼方が言った時、1時間目の授業の先生が教室に入ってきた。

彼方は一瞬口を開いて、何か言いたげなそぶりを見せた。

が、そのまま何も言わず、自分の席へと戻っていった。



< 38 / 43 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop