迷える仔羊
「…でもこれ、本当に何の跡なんだろう?」
あたしはハイソックスを履きなおす。
「まだわからないけど、当分気をつけた方がいいぞ?」
「うん。とりあえず植え込みとか茂みは避けるわ」
「え?」
あたしの言葉に、彼方が不思議な顔をする。
あ、東雲に言われたんだっけか。
「ゴメン、なんでもない。こっちの話」
そうか?と彼方が言った時、1時間目の授業の先生が教室に入ってきた。
彼方は一瞬口を開いて、何か言いたげなそぶりを見せた。
が、そのまま何も言わず、自分の席へと戻っていった。