迷える仔羊
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つん
「ん…」
つんつん
「…んも…なに…父さ…」
ほっぺたつつくなよぅー…
つんつん
「ちょ…鬱陶し……へ?」
うん…?
熟睡から目覚めた頭はなかなか動き出さない。
ぼやける目をこすって見ると、間近に見知らぬ男の整った顔が……
「ええぇえっっっ!!?」
ガツーンッ
状況にびっくりして、あたしは物凄い勢いよく起き上がった。
それに反応できなかったその人の額に、あたしの石頭はまともにクリーンヒットした。
「あいたたた…」
あまりの衝撃に、思わず涙目になり頭を押さえる。
って、ココどこっ!?
周りをキョロキョロと見回すと、そこはさっきまで自分が居た相談室だった。
だんだんと、さっきまでの自分の行動を思い出す。
「あっちゃ~…寝てしまったか…」
遊びすぎたな…
あたしは、失態、失態、と頭をかく。
気づけば外は薄暗く、下校を促す音楽が校舎内に響いていた。
うわ…帰らなきゃ…
そう思ってカバンを探しながら、はたと目の端に、頭をおさえる人影が見え…
「あぁっっ!!!」
ヤバい!!そういえばあたし誰かに思いっきり頭突きを…!!!
「ああああの~…すいません…だっ大丈夫ですか~…」
「物凄く痛い…」
恨みのこもったハスキーボイスが洩れた。
うわぁあっ!!まずい!!すっごい怒ってる!!
「すっすいません~っ!!あ…あたしびっくりして…!!」
飛び起きたらあんたの頭があったんだよ!!
…とは言えない。。。
「…いや…俺も悪かったし…けど痛い…」
その男子は、頭をおさえながらフラッと立ち上がった。