先輩の背中
「鈴木さーん。
ちゃんと残ってたよ」
皆から鈴木さんと呼ばれる、体育の先生、鈴木さん。
ジャージを着こなすおじさん。
「お前はいっつも、安藤を見てるなー…」
「まあね!だってアタシ、中野南は先輩のファンだもん」
「そうかい。だからって練習中は後ろ向いて笑うな」
「了解っ。
アタシ鈴木さん嫌いじゃないから、約束するね」
そう言うと鈴木さんは、困ったように笑いながら、後ろの入り口を見た。
不思議に思って見上げてると、鈴木さんがニッと笑った。
「中野のアイドル登場」
そう言ってアタシの肩をポンポンっと叩き、体育館から出て行った。