神様のかんちがい
悠斗くんがあたしに被さってきた。
「待って…」
そんなあたしの声もお構いなし。
綺麗な顔が近づいてきた。
「もう…ムリ。」
そう言って角度を変えてあたしに
キスをしてきた。
音もなにもないディープキス。
それがおかしいほどに気持ち悪かった。
まだ音が鳴った方がマシだ。
「…もう俺、我慢しないから」
強気な瞳。
その迫力に負けてしまう。
「…っ……」
あたしは口を拭って悠斗くんの
肩を押した。
そしてそのまま逃げるように家に入った。
「…ただいま」
元気がないあたしの声に気付いた母は
キッチンから顔を出した。
「おかえりなさい!!」
けれど、何も聞いてこなかった。
ベッドに倒れこむように寝ころぶ。
「ふ―――――――」
長い溜息だけが部屋にこだます。
ピリリリリ ピリリリリ
「ピッ」
うるさい携帯を消す。