神様のかんちがい
本当は、今すぐにでも怜君を
殴りたかった。
「…直球すぎるよ!!
少しは控えめに聞きなよ」
なんて、そこまで動揺してない
ように答えて見せたけど、
内心、声の震えを頑張って
抑えようと必死だった。
「…ごめん。で、何があった?」
クールすぎるのが少し痛い怜君。
でも、由梨ちゃんだけには
すっごく優しい。
「……別れたってのは違う」
「じゃあ、何で愛海、泣いて…」
怜奈が眉を下げて聞く。
「あたしは悠斗君と別れたいわけ」
「……もしかして、
それを拒まれたの??」
「…本人にはまだ打ち明けてないよ」
「じゃあ…何で」
「……どうなんだ?永沢??」
言いたくない。
悠斗君に強引にキスされたり
抱きつかれたり触られたなんて、
絶対、言いたくない。
黙り込んだあたしの代わりに
秋本が口を開けた。
「永沢、言いたくないって」
「お前は黙ってろ!!
てかさ、お前は永沢と何なんだよ?
他の奴ら、お前が永沢と悠斗の
邪魔したとか言ってんだぞ?」
きっと、怜君は友達想いなんだ。
悠斗君や秋本やあたしのことを
思って言ってくれてるんだ。
「俺は、永沢が泣いていたのを
助けただけ…みたいなもんだから!」
だから、深く考えるほどじゃないよ!!
って、悲しく笑ったあなたを
あたしは今でも愛おしく想います。
もっと、あたしが恋に鈍感じゃなかったら。
もっと、あなたの本当の気持ちに
気付いていれば。
こんな、悲しい気持ちにならずに
済んだのに。