神様のかんちがい
「あはは!! 初めて喋った日の
時みたいだね!!!!」
「……」
そうだった。
初めてあたしが秋本という存在を
知った、初めて名前を聞いたあの日
の時と同じだ。
「…あの時から気付いてたんだ」
「へっ??」
「永沢さんは、大城のこと
好きそうじゃないって」
衝撃の言葉だった。
急に緊張感がわいてきた。
「俺、もう一回…
永沢さんに謝りたいんだ」
「…もういいよ、もうわかったから」
「お願い!!
俺、全部言いきれてないからっ」
「でも…」
「今日の昼休み、屋上に来てくれない?」
その後、秋本とは一言も喋らなかった。
屋上に行くかどうか、返事もしていない。
どうしよう…
行くべきなのか、そうじゃないのか。
はっきり言って、もうあの日のことを
思い出したくない。
あの日以来、カラオケは嫌いになったし
誰かの鼻歌でさえ耳を塞ぎたくなる。
だから…
「行ってきなよ」
「…怜奈……」
迷っていたあたしに声をかけたのは
怜奈だった。
「さっき秋本に誘われたんでしょ?」
「でも……」
「聞いてあげなよ、男子が女子を
呼び付けるなんてよほどのことだよ?」
「…うん」