神様のかんちがい



ガチャ…



屋上なんて滅多に行かない。

人は少ないし、なにより…
悠斗君と別れた場所で、
いっぱいキスされた場所でもある。

4月なのに寒い。

風はビュービューうなっている。


「……ごめんね、待った?」

貯水タンクに座っている背中に
声をかけた。

「…きてくれたんだ……」

「うん…」

「こっちこそごめん。
 一方的に呼びだしちゃって」

あたしは首を横をに振る。

「隣いってもいい?」

また、人に言ったことがないことを
言ってしまう。

「うん」

あたしは秋本の横に腰掛ける。

「眺めイイね」

これから話すことに緊張してか、
あたしはどうでもいいことを言う。

「ここ、俺の特等席なんだ」

「特等席、奪っちゃってごめんね」

「ううん!! 一人は寂しいから」



二人とも、意味不明な話をしていた。

「…で、こないだ言い切れてなかった
 こと、今言いたいんだ」

「……うん」

「俺、永沢の気持ち気付いてたのに
 カラオケの券なんかあげちゃって」

「……」

「永沢が助け求めてる顔してたのに
 気付かないフリして…」

「……っ…」

「本当は助けたかったし、券なんて
 あげたくなかった。

 でも…大城の邪魔したくないし
 本当は、永沢に近づくなって
 言われちゃってて…」








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