神様のかんちがい
「あの悠斗君が素直に
引き下がるわけないよ?!
ましてや、あたしと悠斗君が
別れた原因の中に、
秋本が含まれてるんじゃないかって
噂になってるしさ……」
あたしは無理やり秋本の腕を引っ張った。
「逃げて…」
秋本の顔を見つめる。
あなただけは…絶対に傷つけたくない。
「でも…永沢さんは…」
「あたしはいいから」
だから早く、ここから逃げて。
あたしは気付かないうちに
秋本の手を引いて学校を出ていた。
今すぐ、ここから離れなくちゃ。
「永沢さん、そんなに心配しなくても」
「だめっ!!!! 悠斗君は怖いからっっ」
そうだよ。
悠斗君は…
信じられないほど恐ろしいんだよ。
「おい!! こら!!!!」
突然、怒鳴られた。
後ろを振り返ると学年主任がいた。
「学校がでるなっっ!!!!」
「永沢さん、戻ろうよ?」
「でも…秋本が」
「早く戻れ!!」
あたしは秋本に手を引かれて戻った。
でも…
このまま逃げていればと後から後悔する
ことになるとは、まだ知らなかった。