HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
 最初は、昼は引っ越し業者、夜はキャバクラの黒服でバイトをしていた。

そのキャバクラのオーナーにある日こんな事を言われた。


「今度俺、ホストクラブ経営する事になってさ、今色んな所から人員引っ張ってんだけど、駆藤、ホストどう?」

「えっ?」

「黒服としての接待もバッチリだし! なかなかイケると思うよ? 後お前、金貯めてたじゃん?
お前、ホストのが稼げると思うぞ? 店が軌道に乗るまでだけでもいいからさ!」


 本当は気が進まなかった。

しかし、短期でも構わないというのと、黒服の先輩の丹沢 仁さんも一緒と聞いて、少しなら……、と思ってしまったのだ。


 浅はかにも、黒服経験で夜の世界を知った気でいて。



 何より金が欲しかった。




 そうして俺はオープンした『ARIA』(アリア)というホストクラブのホストになった。源氏名は“昴”(スバル)

 今思い出しても、俺には相当似合って無かったと思う。
なんか煌びやかなカンジが。


 ホストになってからも、俺は暫くはヘルプ専門で、ぱっとした稼ぎではなかった。



 しかしある客が俺の運命を大きく変える事になる。


 彼女がいなかったら、今俺は何をしていたのだろうか。
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