HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
 その日、俺は聖邇(セイジ)と言うホストのヘルプに付いていた。

 聖邇は明るい茶髪で襟足が長く、渋谷とか、街によく居そうなタイプだ。

 開店早々、彼の指名客になった女の子が、友達を新客として連れてきていた。


「よっ! ルナ」

「聖邇~!! 今日は~、ルナの友達の“キミちゃん”をつれてきました~」

「樒(しきみ)っていいます♪ キミって呼んで!」


 仁田 樒(にった しきみ)は見た目だけで言うと、ホストクラブに来るような子に見えなかった。普通の女子大生だ。
ノリだけはギャバ嬢のルナと変わらない。


「俺、聖邇って言います! キミちゃん可愛いね~」

「ちょっとぉ! 聖邇はルナのだから♪ あ、そちらのヘルプ君は? ルナとははじめてだよね?」

「はじめまして! ヘルプにつかせてもらいます 昴です」


 俺はルナに媚びすぎない、爽やかな笑顔を送った。
営業とは思わせない営業スマイルは黒服で学んだ事だ。


「やん! 昴くん可愛い~」

「コラ~! ルナは俺指名だろ!? ウチは永久指名制だから、俺からは逃げられないよ?」

「もち♪ ルナ聖邇一筋だしぃ~」

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