HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編




 大学4年の時。

 俺は医大で外科医を目指してインターンを始めたばかりだった。

自分で言うのも変だけど、大変優秀だったから、医局の人には色んな目で見られていた。


「あれが駆藤 透か。学年では常にトップクラスらしいぞ」

「ドラフト実習も実に優秀だったよ。是非私の助手にしたかったね」

「注目されすぎだろう。まだ学生だぞ?」

「七瀬教授のお気に入りで、たまに手術手伝ってんだってさ」


 みんな様々な見方で俺を「将来が約束された奴」として見ていた。
きっと俺も、少なからずそう自覚してたに違いない。


だから挫折した。



全てに裏切られて。







 インターンが始まって5ヶ月の時、
俺もやっと白衣が様になってきた頃。

 心臓外科の権威である七瀬教授は医療ミスを犯した。
とても初歩的なミスで患者さんは亡くなり、裁判になった。


 病院側が取った行動は、

遺族に慰謝料を払った事と、

俺に七瀬教授の罪をなすりつけた事だった。


< 7 / 33 >

この作品をシェア

pagetop