HEMLOCK‐ヘムロック‐番外編
大学4年の時。
俺は医大で外科医を目指してインターンを始めたばかりだった。
自分で言うのも変だけど、大変優秀だったから、医局の人には色んな目で見られていた。
「あれが駆藤 透か。学年では常にトップクラスらしいぞ」
「ドラフト実習も実に優秀だったよ。是非私の助手にしたかったね」
「注目されすぎだろう。まだ学生だぞ?」
「七瀬教授のお気に入りで、たまに手術手伝ってんだってさ」
みんな様々な見方で俺を「将来が約束された奴」として見ていた。
きっと俺も、少なからずそう自覚してたに違いない。
だから挫折した。
全てに裏切られて。
インターンが始まって5ヶ月の時、
俺もやっと白衣が様になってきた頃。
心臓外科の権威である七瀬教授は医療ミスを犯した。
とても初歩的なミスで患者さんは亡くなり、裁判になった。
病院側が取った行動は、
遺族に慰謝料を払った事と、
俺に七瀬教授の罪をなすりつけた事だった。