神がつけた標
「あの…?」

「確かに私は貴女をトランペットにしたよ。それは貴女の適性を見てそうしたの。それをお姉さんがいたから希望が上手く通ったって…自惚れるのもいい加減にしなさい」

「………は?えっ」

「何?身に覚えない?」


正直 ありません と答えたかった。

けれど微かに思いあたることがあった


それは4月

楽器の希望を取られたとき

「トランペットがいいです」

と答えた。

姉など関係なく。


そのあと、友人との雑談中、「お姉ちゃんもだったんだよね~だからあたしも」
といった事もある。


(まさか……それ?えっ今8月なのに?!)


トランペットに決まる前の話を今更といった感じだった



理不尽




まさにそんな心境だ。


「ちょっと!黙ってないでなんか言ったらどう?」


いやいや 待て ここはやっぱり謝るべきなんだろうか…ってか謝らないと帰してもらえないだろうし


「あたしはいいのよ?貴女をフルートにしても」

その言葉を聞いて足元が暗くなる

フルートに回されたら、左手の使えない私は演奏もできず、部活になんか行けない …退部しなければならなくなる


「いいえ…トランペットが…いいです…」

「じゃあ、自分の言うべきことが解るわよね」

「軽はずみな発言をしてしまい…申し訳ありませんでした」


私は頭を下げた そして泣いた。…悔しくて。


弁明も試みてはみた。けれど

「いえ…違います…」
「違うわけないでしょう!」

この一言で思ってしまった



あぁ この先生には何を言っても






無駄
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