不協和音
・5月5日の記念日
5月になった。
もうそんな時期か、とベッドに寝転がっている体をよじらせながら、カレンダーを見る。そして、5日のところにはベタに赤ペンでマルを書いてある。これは、記念日なんだ。まあ、簡単に言えば、私の誕生日である。自分のカレンダーに、自分の誕生日を書き込むなんて、ちょっと恥ずかしい気もするが、誰かが見るわけでもないので、放っておく。
「・・・あれ、田中さんからメールが着てる・・・」
ごろごろ転がりながら、携帯を弄る。内容を見ると、こう書いてあった。
『5月5日の15時に、桜色公園に来て』
まったく、何を考えているんだか。・・・それに、その日は私の誕生日だ。何か企んでいるのか、何なのか。というか、まず田中さんが私の誕生日を知っている筈がないから、それはないのかもしれない。考えすぎか・・・。
「・・・別に、期待とか、してないし・・・」
誰に言うでもなく、呟いてみた。だけど、部屋はしんとしていて、虚しくなったので、田中さんに返信のメールを打つことにした。
返事は勿論、『分かりました。待ってます』だった。