不協和音


「完璧遅刻だよ、沙也ちゃん」

桜色公園に着くと、全体的に黒でコーディネイトしている田中さんが笑顔で立っていた。・・・案外、簡単に見つかるもんなんだ。
よろよろとした足取りで、田中さんの傍へ行き、膝に手をやり、荒く浅い呼吸をする。ここまで、ずっと休まず走って来たのだ。
そうしたら、頭上からそのような言葉をかけられた。遅刻をしてしまったらしい。何となく、田中さんを見れなくて、息が整っても頭を上げることが出来なかった。

「・・・沙也ちゃん?まだきついの?」
「いや・・・、その・・・」

中々顔を上げない私を不審に思ったのか、私の目線に合わせて腰を屈める田中さん。思わず視線を泳がせると、田中さんは顔を近づけてきた。・・・眉目秀麗な顔を、近づけないで下さい。恥ずかしいのに。

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