ダンデライオン
「なあ、高倉」
ふいに声をかけられ、意識を戻らせる。
いけない、仕事中なのにぼうっとしてしまっていた。
しかも、主の御子息の前で。
「はい、なんでしょう」
「こいつ、俺に付きっ切りにさせろよ」
「・・・と、言いますと?」
「だから、他の仕事はさせるなって言ってるんだよ」
他にも、他の使用人とは会わせるなと、無理難題を注文してきた。
否、注文というか命令だ。
ありえない命令でも、私達は『No』とは言えない。
唯有るのは、『Yes』だけ。
「畏まりました」