ダンデライオン


「そういうことだ。分かったな?世話係」
「え、あ、分かりました!」
「・・・では、佳奈さんは坊ちゃんの身の回りのお世話だけして下さい」

視線を軽く落として、ふう、と小さく息を吐く。
パカンと懐中時計を開け、現在の時刻を見て、この後のスケジュールを思い出す。

ああ、そういえば・・・。
坊ちゃんに会わせたら、啓次郎様に報告しなければいけなかった。

楽しそうに笑う坊ちゃんに、「何かありましたらお申し付け下さい」と告げ、静かに部屋を出る。
・・・きっと坊ちゃんは私の言葉など聞いていないだろうけれど。

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