ダンデライオン
初めまして編
地面をけって、走った。廊下は走るな、そう部下や新入りに言っている自分が、こんなにもルールを破って走っているのには理由があった。今日から入る新入りが居るらしい。勿論、この雨宮家に仕えて10年近くなる自分が、こんな失態をして言い訳がなかった。だが、こちらに落ち度があるわけではない。何故なら、今から丁度3分前に、ここの主である雨宮啓次郎様に「新入りが来ている」と言ったからだ。そんな話、聞いてない。そんなこと、主に対して言える筈もなかった。だから、丁寧に部屋を出た後は、冒頭に戻る。
「この家は、広すぎるっ!」