ダンデライオン
「私は、この家に仕えさせていただいている執事の、高倉あやめと言う者です」
「あやめさんですね!私は、山本佳奈って言います」
「素敵なお名前ですね・・・。あ、執事長の爺が居ますが、あまり表舞台に立っていないので、私が代わりに仮執事長をさせていただいています」
すると、佳奈さんは目を輝かせて「仮執事長って凄い人なんですね!」と言う。・・・こんなに綺麗に笑うのに、こんなところに居ても良いのだろうか。失礼かもしれないが、こんな無垢な少女を、こんな汚い世界へ住まわせてしまっても良いのだろうか、と心配になってきた。
直接的ではないが、間接的に汚い物を見るのだろうから。それは、人間の欲であったり、裏の人間関係などのことであるが。特に、この家も前々から有名な一族だったから、そういう取引なんかしょっちゅうしているだろう。いや、1度見てしまったことがある。