ダンデライオン
「では佳奈さん、この服に着替えて下さい」
「メ、メイド服・・・ですね。・・・ちょっと恥ずかしいです」
「そうですね・・・。ああ、あと・・・、佳奈さんにはここの坊ちゃんの世話係をしてもらいます」
「・・・世話係・・・ですか?」
「ええ。世話係です」
ぴらりとメイド服を目の前で見せながら、にっこりと笑うと、佳奈さんは顔を赤くしながら笑顔を返してくれた。
・・・それにしても、あの啓吾坊ちゃんの世話係とは・・・。つくづく佳奈さんは不運、というか、なんというか。
まあ・・・、良いとは言えないだろう。
「・・・坊ちゃんのお名前は、『雨宮啓吾様』です」
「啓吾様・・・」
言葉を反復して、覚えている佳奈さん。・・・なんだか愛らしい。・・・・・・何を考えているんだか、自分は。