ダンデライオン
「あ、あの・・・啓吾様って、どんな人ですか?」
「ああ・・・、そうですね・・・。性格が少々癖がある方、ですかね」
「癖・・・ですか・・・?」
「おっと・・・。これは秘密ですよ?」
主達の悪口なんて、言ってはいけなかった。だが、まあ・・・、忠告程度には良いだろう。
・・・これがもし聞かれていたら、自分はクビになってしまうのだろうか。
まあ、聞かれていたら、だが。
「何が秘密だよ、高倉。聞こえてんだよ」
・・・。おや・・・、聞こえていたか。
ノックもせずに乱暴に扉を開け、ずかずかと入ってくる端整な顔立ちの少年(と言っても、もう17歳)は、その鋭い瞳で私を睨みつける。
慣れている私は怯むことなく、坊ちゃんに笑みを返す。すると、坊ちゃんは軽く舌打ちをする(行儀が悪いですよ?)。
しかし、私の隣に居るメイド服を着た(私が考えごとをしている間に着替えてもらいました)佳奈さんは、肩をびくつかせて怯える。