花鎖
愛くるしい少女を見たい。
でもそうすると、その少女が白兎を可愛がっている姿を見てしまうことになる。
それは嫌だ。
でも、青年は少女の笑顔が見たかった。
どんな理由であれ、たとえそれが己の望んでいない物が作った笑顔だとしても。
青年は少女の笑顔が見たかった。
産まれて、少女を愛してから、ずっと願っていたことだった。
勿論それを己の手で作りたかった。
でも、それは時と場合によって、出来ない時もあった。
それが悔しかった。
それでも青年は願った。
少女の幸せと、笑顔を。