俺様な彼氏

狂う歯車

LHR終了後、席を立った。


と同時に制服のポケットで震え出すケータイ。


疑問に思いながら開く。


え…。
稜、からだ…。


急に高鳴る鼓動。


震える手でメールを開く。


『屋上に来て』


そっけない文字だったけど…あたしにはなんだか嬉しかった。


パタン…とケータイを閉じ、ギュッと握りしめた。


自然に零れる笑顔。


その様子を亜鶴と紫葡、そして雪斗が見守っていた………。


「頑張って!!」


励ましの言葉をくれた亜鶴。


「素直になるんだよ?」


と釘を刺した紫葡。


「なんかあったら俺に電話でも、メールでもしてこい」


優しい言葉を並べた雪斗。


みんな…


「ありがと!! じゃあ」


満面の笑顔を残して教室をあとにし、屋上へと足を急がせた。


軽快な足取り。


今の心境が見るからに分かる。


今までは苦でしかなかった階段さえ、楽しく感じる。


これから稜に言われる言葉を聞くまでの………微かな幸せだった………。


あたしに笑顔を向けたのは優しい神様なんかじゃなくて…妖艶な笑顔を向けた悪魔だった━━━。


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