俺様な彼氏
そして恒例になりつつある亜鶴と紫葡のツッコミ。


「愛しの人ばっか見てないでちゃんと練習に参加しろ!!」


今日も言われました。
耳元で。


普通にキーンってなったよ…。


あたし、運動とか自慢するつもりじゃないけどかなり得意だから…練習サボりたいんだよ。


恨めしそうな目で二人を見る。


スルーされたけどね…。


てかさ、見とれてて何が悪いって言うの!?


今のあたしの視線の先には友達と楽しそうにお喋りをしていると思われる稜。


せつないなー…。


見ているのが苦しくなり視線を逸らして稜の見えない木陰に移動した。


ペタンと木の根本に座り込んで空を見上げる。


午後の授業、しかも6限目の為、若干オレンジ色に染まっているように感じた。


稜と距離を置くことになったあの日を思い出していた…。


周りの情景も雰囲気も…何もかも違うのに…あたしは似ているように感じたんだ。


「稜………」


自然に呟いた言葉。


脳裏に描かれた稜。


本人に届かなくてもあたしは伝えたい…。


好きだってことを━━━…。


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