俺様な彼氏
とりあえずなんとか離してもらい、近くにあった椅子にヘナヘナと座り込んだ。


はぁ…ヤバい…。


椅子の背もたれに抱き着きながら小さくため息を落とした。


「何ため息ついてんだよ?」


容量オーバーにしたやつがよく言うよ…なんて口が裂けても言えない。


そんなことを言ったらからかわれるのが目に見えてる。


「なんでもない…」


赤くなっていると思われる顔を俯かせながらそう言った。


そういえば…


「なんで、あたしがこんなところに呼び出されたの?」


そう。
すっかり忘れていた。


「なんでって…覚えてねぇの?」


は? 覚えてない?


「朝、言ったよな? 俺。 後で楽しみにしとけよ…って」


………。


そんなこと言われた覚え…
ある。 あるよ、あたし…。


冷や汗が額ににじむ感覚がした。


「覚えてんだろ?」


ニヤッと妖しい笑顔を浮かべながら問いかけてくる稜。


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