俺様な彼氏
「ちょっ…お願い、亜鶴!! 早まらないで!!」


いつものおちゃらけた表情は一切なく、瞳は冷ややかなものであった。


曲がったことが大嫌いな亜鶴…。


あたしのためにしてくれようとしているのは嬉しいんだけど…


キレたら終わりだ………。


必死に亜鶴を落ち着かせようと試みる。


でも無意味に等しい…。


人を寄り付かせない雰囲気になった亜鶴は…あたしを見る瞳までも冷ややかなものになっていた。


この時初めて…


いつも笑顔を絶やさず…


誰とでも仲がよくって…


可愛らしいオーラを出しまくって…


男を虜にさせていて…


女子の中心でもある亜鶴が…


怖く感じた━━━…。


それほど冷ややかな瞳を向けられた。


だけど…あたしも怯んでいられない。


このまま亜鶴をキレさせる訳にはいかない。


ゴメン…。


「ごめんね…亜鶴…」


そう言い…亜鶴の気を失わせた。


あたしのためにここまでしてくれたのには涙ものだけど…


傷つけられても…

たとえ遊びであっても…

稜の隣にあたしはいたいんだ…。


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