俺様な彼氏
気を失わせたあたしは亜鶴の家まで送り届けた。


だが送っている間も考えていたのは稜のこと…。


会話の内容までは聞こえなかったが声のトーン的に真面目な話だということは分かった。


あたしは自分の部屋のベッドに寝転んだ。


瞼を閉じても浮かんでくるのは大好きな稜の意地悪な笑顔と甘い笑顔、それとさっきの光景…。


閉じている瞼からは涙が溢れてくる。


言葉では言い表せないようなこの感情。


醜い気持ちが心を支配していく。


ねぇ…

稜にとってあたしって…

一体、なんだったのかな…?


都合のいい女?


………。


考えれば考えるほど虚しくなってきた。


涙を拭わず携帯を開き、アドレスを見ていく。


ふと目に留まった名前。


相談…してみよっかな…。


「もしもし、魅夜? どうしたんだ?」


電話した相手は雪斗。


あのあとあたし達は“友達”という関係に戻っていた。


雪斗の声を聞いた途端、また涙が溢れ出した。


「ふっ…ぅ…ゆ、雪…斗…ぉ…」


嗚咽混じりに声を出す。


「えっ!? 魅夜!?」


泣いているあたしに戸惑う雪斗。


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