My Friday
そんな私に、課長は意を決したように顔を上げて問いかける。
「なぁ…。お前はこのリングがあったから、俺から離れてったんだよな?」
何か喋ると涙か零れ落ちそうで、課長の問いかけに無言で頷く。
「それって、オレ、自惚れていいって事?」
いつもとは違って、弱気で控えめな声で尋ねられる。
その声に私の努力も虚しく、大粒の涙が溢れだした。
そんな私は、もちろん話す事も出来ずにまた大きく頷く。
その瞬間。
今日二度目の、大好きな香りに包まれて。
全身で感じる温かい体温。
抱きしめられてる。
あなたの腕に。匂いに。
愛しい人の体温を感じて、私の涙は止まる事を知らない。