MATO
「どうぞ」
係りの人の案内で道場に入る
一歩入って神殿に向かって 礼
何度もやって慣れたはずこの動作は、今日だけは緊張していた。
立ち位置に着くと真っ直ぐ見据える的が見える。一度目を伏せ、2メートル先を見つめた
中る
絶対に中る。中らないわけがない。
係りの合図で始める
あたしの弓道の流派は小笠原流だ。的を見て左足を開き、足元を見て右足を開く
。そして取りかけ。
会場内は静かで無音に等しい。だけど、聞こえた気がした。
「がんばれ」と。