MATO
勝手にライバルとして、敵として見てきた。
「彼、うまいね」
そういう周りの声を上回るくらい後藤は本当に弓道が上手だった。
どちらが強いかなんてわからなかった。
何百本弓を引いても測り切れないくらい「互角」だったのだ
弓道ではあたしが1番強いと、そう思って努力を重ねてきた。
その努力を否定されたみたいで、今まで以上に努力をしなければと思った。
だけど努力はあたしだけじゃなくて後藤もしていたから差が広がるわけがなかった。
目障りだった。
負けたくない。いつか絶対勝ってみせる。
向こうもそう思っているはずだ、と。
最近までは。