MATO





道場に響いたその声は、今まで聞いたどの言葉よりも意味があるものに思えた。


弓道より楽しいものはないと。あたしには弓道しかないと、そう思っていた。

変えてくれたのは後藤。




「あたしも…好きだよ」




あたしがそう言うと、後藤は急に力が抜けたように壁に寄り添った。


「はー…緊張した…」



本気でそう言う後藤がなんかおかしくて、それでもすごく嬉しくて、でも悔しくて

涙が出た




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