MATO
「何?」
そう尋ねると湯川さんはニタ、と怪しげに笑った。
怪しげというと、おかしいかもしれない。少なからずとも憎悪の感情が詰まったような笑みだった。
嫌な予感というのはだいたい当たる。
面倒な気持ちを抑え、湯川さんに体を向けた。
「話したいこと、あるの。だから放課後一緒に帰らない?」
呼び出しで校舎裏リンチを想像してたけど、もっと面倒なことになりそうなまさかの一緒に下校。
道中、何されるか分かったもんじゃない。