MATO



「てか、他の部員来るの遅くない?」


いくらあたしが来るのが早いといっても、帰りのショートホームルームを終えてから来てるんだから、もうそろそろ誰か来てもいいはずなのに。いつもならあたしが着替え終わった頃には何人かは来ているのに。



「ああ…今日は部活休みだよ」

「…は?」


後藤はサラっと言ったけど、あたしは休みなんて聞いてない。一瞬後藤が何を言ったかわからなかった。…何で?




「今日の朝に休みになったって決まったんだ。放課後は緊急職員会議があるから」

「え、じゃあ何で」

「俺が顧問にみんなに報告しに行くって言ったんだ。みんなには言って佐藤には言わなかった」

「なんで…」

「佐藤とふたりきりになりたかったから」




そう言った後藤の顔は赤かった

そしてまたあたしは後藤のことを馬鹿だと心から思った




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