MATO


「誰が何と言おうとも後藤くんの彼女は美砂でしょ」

「え、……マリナ、ちょっと…」

マリナは5限の授業が終わるなり、あたしの席に来て湯川さんに聞こえるように大きな声で言った。


「こういうのははっきり言ってやればいいのよ。正々堂々と後藤くんに勝負できないくせに情けないと思わないのかしら」

「わかった、わかったからもう少し小さい声で…」

そんなあたしの停止を遮る声がした。


「ちょっと、首藤さん何が言いたいわけ?」


…………湯川さんだ。
湯川さんはさっきの引き攣った笑顔すらも消えて、マリナを睨んでいた。


「ああ…何、理解できなかったの?」


まさに売り言葉に買い言葉。
あたしを間に挟んで二人は火花を散らせていた。



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