MATO


クラスメートの視線があたしに対する同情に変わってきてる気がする。
いや確実に同情されてる。
なんか「ドンマイ」的なことを言っているような目であたしを見ている。
だいたいマリナもあたしを庇いたいのかただ単純に湯川さんが気にくわないだけなのかわかったものじゃない。

「…………マリナ」

肩を軽く叩いて、マリナに呼びかけた。

「何よ」

「あの…あたしが空しくなってきたし……なんか注目も浴びてるしやめてほしいな」


そう言うとにぎりしめた手を緩めて少し気まずそうに「………ごめん」と言った。

「ううん」と言って時計を見るとまだ7分。


マリナの戦意がなくなったことに対して湯川さん達は「根性ない」だのいろいろ言ってたけどマリナは「それが何か?」と言うような態度で完全にシカトしていた。

………それでこそマリナ。


やっとのことで先生が来る。たったの数分待っただけなのにすごく長い気がした。
授業中もたまに後ろの席から舌打ちが聞こえてくる。
それを聞きながらバレないように小さくため息をついた。


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