MATO



『ブス』

あたしはマリナや湯川さんと比べたら可愛くなんてないし確かにブス。

みんなが思っているように、かっこいくて男子からも女子からも人気がある後藤と釣り合っていないのは事実。

顔なんてそんなことは今さらどうしようもない。学生の身分で整形なんて出来ないし、例えお金をたくさん持っていたとしても、そこまでしたいとは思わない。


「こんなブスと付き合うなんて納得いくわけがない」


湯川さんの言う通りだ。

言い返す言葉もない。


「ため息」

「え?」

「今日ため息多いけど、どうかした?」



部活帰り、後藤に言われた。

あたしってこんなに弱い考えしかできなかったっけ…


後藤にだけは絶対悟られたくない。

自分のせいなんて思われたくない。
何より、あたしがそのせいでコンプレックスに目覚めたことを知られたくない。



「何でもないよ」



そうは言ってみるけど、顔が引きつった気がしてならない。
後藤は納得いかない表情をしてたけど「ならいいけど」と言った。

それを横目に、後藤にバレないようにまた小さくため息をついた。

あたし、今日どれくらいため息ついた?


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