MATO
「ねぇ、ちょっと話そうよ」
次は肩を軽く叩いてきた。
「何?」
さすがにシカトするわけにはいかない。
嫌々ながらも振り向くと、やっぱり嫌な笑顔を張り付けた湯川さんがいた。
「やだ、睨まないでよー」
佐藤さんこわい~なんてかわいらしい声。
本当、女は女優。
「用は?」
「えー用ないとダメなの?」
ダメも何もねーよ。
言っても湯川グループを刺激させるだけ。心の中に留める。
あたしが返事する前に湯川さんは口を開く
「後藤くんの元カノたちの話、聞きたくない?」
「え……」
「聞きたいよねぇ?教えてあげる。あのね…」
何も言ってないのに勝手に話し出した。