MATO



「・・・それが何の関係があるの?」


不思議そうに言う。理解はしてもらえないかもしれない。
でもこれはあたしの意地。



「あたしね、弓道に命かけてるの。今年のインハイに出て優勝してみせる。その夢があるの。だから余計なことは考えたくないの」



弓道は他の競技とは違って精神面がはっきりとでるスポーツだ。

心が不安定なら不安定なほど弓も不安定になる。

他のことに現を抜かしていると中るものも中らなくなる。



「それは、後藤も一緒だと思う。だから・・・返事をするのはまだ後でもいいでしょ?」

「美砂・・・」

「ま、でもそれは言い訳で」

「言い訳なのかよ、感動しちまったじゃんかバカ」



軽くあたしの頭を叩いて笑うマリナ。



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