彼女が死んじゃった。
はじまり
《僕》

朝起きて、最初にすることはいつも決まってあっちゃんを起こしに行くことだ。
彼女は早起きがすっごく苦手。
僕はそれを知っているから、毎朝起こしてやらなきゃいけない。

「おーい、あっちゃん、起きろー」
ベッドに横たわるあっちゃんの肩を揺さぶって起こそうとするけど、彼女はなかなか起きてはくれない。
でも大丈夫、こんなのいつものことだから。
いつだってあっちゃんはすぐには起きてくれない。
「あっちゃーん」
僕はひとり、あっちゃんを揺すり続ける。
やがて「うぅーん……」と小さな声を漏らしてあっちゃんが目を覚ます。
眠そうに目を開けて、めんどくさそうに口を開いて、開口一番こう言うのだ。
「も、もう少し寝かせてぇ……」

これがいつもの朝の風景。
僕とあっちゃんの、一日の始まり。


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