両手でも足りない
隣のアイツ
春になり、まだ雪が残る4月。新しい1年に不安と期待が入り交じる。
始業式から10日、新しいクラスにも慣れようやくクラスメートの顔と名前を覚えた頃。
「チビ、邪魔くさい」
と、振り落とされた声に顔を上げれば、けだるそうな顔をしてあたしを見下ろす海斗(カイト)がいた。
「ちっ、チビって…。あたしの名前は青海(アオミ)だってば!!これから大きくなるんですーっ!!」
突然のことに出した声は吃り、必死で背伸びをして、頭の上で手の平を下に向けヒラヒラ前後に動かすあたし。
それなのに海斗は、「邪魔」と冷たい一言だけを残し、すでに背中を向けて教室の中へと入って行っちゃって。あたしは教室の扉の前に虚しく取り残された。
頭1つ分以上ある海斗は、あたしをいつもそうやって身長のことでバカにする。
嬉しいはずの新学期。1、2年生に引き続き海斗と同じクラスで気分は微妙。
中学3年生。やっぱり微妙なお年頃。
始業式から10日、新しいクラスにも慣れようやくクラスメートの顔と名前を覚えた頃。
「チビ、邪魔くさい」
と、振り落とされた声に顔を上げれば、けだるそうな顔をしてあたしを見下ろす海斗(カイト)がいた。
「ちっ、チビって…。あたしの名前は青海(アオミ)だってば!!これから大きくなるんですーっ!!」
突然のことに出した声は吃り、必死で背伸びをして、頭の上で手の平を下に向けヒラヒラ前後に動かすあたし。
それなのに海斗は、「邪魔」と冷たい一言だけを残し、すでに背中を向けて教室の中へと入って行っちゃって。あたしは教室の扉の前に虚しく取り残された。
頭1つ分以上ある海斗は、あたしをいつもそうやって身長のことでバカにする。
嬉しいはずの新学期。1、2年生に引き続き海斗と同じクラスで気分は微妙。
中学3年生。やっぱり微妙なお年頃。
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