両手でも足りない
「ち、違うよー。やだなあトモくんってば、すぐそうやって海斗と結びつけたがるんだから」

なんて強がって言って見せたって、この動揺はあたしには隠しきれなくて。


「否定したってわかるっつうの」

と、含み笑いを漏らすトモくんにはバレバレだった。


「なんでもお見通しだねトモくんには。あーあ、お隣さんにはほんと隠し事ができないようになってんだね」

唇を尖らせ、あたしは背中をソファーにどっしりと預ける。


背もたれが柔らかくて、埋めた背中が心地よく包まれる。


ちらっと横目でトモくんの様子を伺うと、意味ありげな笑みであたしが話し出すのを待っているみたい。


「…わかった。話すよ、話すけど!海斗には言わないでね!絶対だからねっ」

観念したあたしはそう何度も念を押した。
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