両手でも足りない
洗脳と誘惑
『なんで男は単純なの?』

『好きでもない子と目が合っただけで、もしかして俺のこと好き?だとか、ちょっと親切にされただけで気があるんじゃないか?だとか。相手はなんとも想ってないのにそういうことで、自惚れてしまう生き物なんだ』

なんてトモくんは言ってたけど。だから?って感想しか出ない。


ピーッ。

体育館に響き渡る笛の音に、走り込みの順番が来た海斗に視線を預ける。

ヒョイっと軽々しく跳ぶ海斗は、ヒョイとまたもや軽やかに跳び箱を跳び越し、乱れることなく見事に着地した。


そんな姿がカッコイイから、女子の視線は海斗にくぎづけ。

今は体育の授業中。自分の番がくるまでの間、昨日の話しを思い起こしてみる。


『…だけど。好きとは違うけど、わかりやすいアピールしてるのに。ちっともわかってくれないよ?それどころか、付き纏ってんのが迷惑がられて、ウザキャラなんだけど?』
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