真夜中のカラス達へ
泰樹は、千世に手紙を渡されても状況が飲み込めなかった。
すぐに父親に電話をかけた。
「もしもし、お久しぶりです。泰樹です。」
「泰樹、久しぶりですね。どうしたのですか?」
電話から聴こえた声は、落ち着いた男性の声だった。
「あの?」
「…酔っています?」
「あっはっははっ、流石、泰樹…で、なんでわかったの?」
「え、なんとなく…それより、千世が来ているのですけど…。」
「あぁ、今年からそこ高校一年生になります。」
「えっ?俺、聞いてないですが…。」
「君には、内緒にしていましたよ。君は、心配性ですからね。受験日も君にみつからないように鴉の諜報(ちょうほう)部隊が極秘に送迎しました。」
「そっ、そこまで?」
「はい、すみません。僕も父親とはいえ、地位では、彼女の下ですから。逆らえなかったのですよ。」
「ちょっ、でも…俺、『鴉(からす)』の活動もあるのですが…。」
「それが、千世も君の部隊に入隊になりました。」

「おい!!訊いているのか!!」
聞き覚えがある無愛想な声がして、会話は途切れた。
「―すみません、泰樹。千世の事を宜しくお願いします。では…。」
「―えっ?ちょっと父さん!!」

父は、謝罪をして一方的に電話を着られた。
―なんなのだ…。
「はぁ、ありえない…。」
泰樹は、眼の前にあったサイダーの缶をメキメキと握りつぶしていた。

「お兄ちゃん!!ご飯できたよー。食べよう。-ってあれ、何でサイダーまみれなの?」
「……。」
>机には…黒い塊のような物が皿に盛られていた。

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