Baby love
Ⅰ
「ソラちゃん今日ね、」
「ん? 何? おばあ」
ローファーにつま先を突っ込もうとしたその時、いつもなら2階にいるおばあが珍しく玄関先で話しかけてきた
「今日はね、早く帰ってきてね。急がなくていいんだけど」
「うんわかった。7時までに帰る」
お願いね、と小さく笑うおばあにあたしも微笑む。年に一度のおばあの小さな言いつけ。私の心温める言いつけ。
「おおチビもう行くの。はえーなあ高校生は」
あくびしつつ首の後ろ掻きつつ階段を降りてきたそいつに私の笑顔がむっとしたものに変わる。
「プーな大学生に比べたら早いっつうの」
「お前そんな口きいていいの? 今日の料理番長に向かって。ソラのだけ全部トマト料理にすっぞ」
「別にいいし。そんなことしたら自分で作るし」
「かわいくねえ。クソガキ」
「プー太郎。てか遅刻する。もう行く」
7時厳守な!っていう無駄にでっかいジョーの声を背中に受けながら家を出る。どうせ今日の夕飯カレーだろうな。あいつ、あたしの好きな食べ物カレーだと思い込んでるから。
『ガキは全員カレーが好物って決まってんだろ』
「・・・むかつく」
いつかのジョーの自信満々の発言に思わず小さな独り言。子供扱いされてると思うと無性にムカムカして自然と足早に歩いてしまう。
髪をゆらす程度の心地よい風に雲一つない青空。
私の新しい1日が始まる。
「ん? 何? おばあ」
ローファーにつま先を突っ込もうとしたその時、いつもなら2階にいるおばあが珍しく玄関先で話しかけてきた
「今日はね、早く帰ってきてね。急がなくていいんだけど」
「うんわかった。7時までに帰る」
お願いね、と小さく笑うおばあにあたしも微笑む。年に一度のおばあの小さな言いつけ。私の心温める言いつけ。
「おおチビもう行くの。はえーなあ高校生は」
あくびしつつ首の後ろ掻きつつ階段を降りてきたそいつに私の笑顔がむっとしたものに変わる。
「プーな大学生に比べたら早いっつうの」
「お前そんな口きいていいの? 今日の料理番長に向かって。ソラのだけ全部トマト料理にすっぞ」
「別にいいし。そんなことしたら自分で作るし」
「かわいくねえ。クソガキ」
「プー太郎。てか遅刻する。もう行く」
7時厳守な!っていう無駄にでっかいジョーの声を背中に受けながら家を出る。どうせ今日の夕飯カレーだろうな。あいつ、あたしの好きな食べ物カレーだと思い込んでるから。
『ガキは全員カレーが好物って決まってんだろ』
「・・・むかつく」
いつかのジョーの自信満々の発言に思わず小さな独り言。子供扱いされてると思うと無性にムカムカして自然と足早に歩いてしまう。
髪をゆらす程度の心地よい風に雲一つない青空。
私の新しい1日が始まる。